螺旋街道


光と影10

「もういい」
「え?あ、あぁ」
パッと腕をはなされ、ゴトンと音をたてて腕は床に着地する。 相変わらず、無表情で事を運ぶヤツだ。
「あの……」
あぁ、何か言いたげだが。 俺はその口に手をあて、それ以上言うのを許さなかった。
「いいから、任せろ。大丈夫だから……」
悲しそうな古泉の顔。 見ていられなくて俺は、顔を背け長門の指示通り、暗い夜道を一人で歩く事にした。


――――――――

「暗い」
只今の時刻は午前2時。 普段なら熟睡して夢を見ている頃だろう。 そんな考えに浸りつつ歩いていた俺の背後に、気配が生じた。

――来た。

覚悟を決めて、目を瞑る。
瞬間――。
「キョンくんっ」
抱き締められた。 温もりの感じない、ただ相手を傷つけるためだけのバグ。
俺は驚いたフリをして肩を震わせようとしたのに、身体はそれを実行する前に、悪寒からの震えを出していた。
「す、すみませんっ、ビックリしてしまいましたか?」
「こんな真夜中にやられたら誰でも驚くだろっ」
いつも古泉に話し掛けるみたいに、怒る。 そうすれば、相手は俺に簡単に騙されて――――。

いや、気づいていた。 気づいていて、乗ってきたのだ。
「キョンくん」
軽く口づけられ、暗い路上に引っ張りこまれた。 ニヤニヤ笑って、アイツは言う。
「外ですると、興奮していつも以上に感じるって本に書いてありました。試してみましょう?」
「はぁ?ふざけんなっ」
否定の言葉を投げつけたにも関わらず、古泉Bは、俺のズボンを下着ごとずり落とした。
「な……っ」
いきなりそっちから行くか!!
不安と恥じらいに戸惑い、慌ててワイシャツの裾を引っ張る。
「駄目ですよ、いけない人ですね。僕の前で隠しものなんて」
その手を捕まれ、あっさりと自身を露出させられた。 そのまま、口婬と手婬をされる。
「……っ、く…ぁ」
はしたなくも快楽に敏感に反応し、勃ちあがる自身。
「は、なせ…っ、も……」
「イキたいですか?でも、まだ、駄目です」
ぎゅっと根元を握り込まれ、息がつまる。
「あなた、本当に僕の事が好きなんですね……」
瞬間に、後方に熱く猛ったモノの感覚を覚え、小さくうめき声を漏らした。
「愛って……なんですか?」

ガツガツと食われる。
「好きってどういう気持ちですか?」
「性欲を満たす為だけに、気に入った相手を抱くのも……愛、ですか?」
「答えてください、キョンくん。本体の僕と僕は変わらない。あなたを見ているだけで、こんなにも熱く猛る自身………愛、ですか?僕は……優を見ても、こんなにはならなかった。これは……憎しみ、ですか?」
――――愛?愛ってなんですか?僕は、あなたを愛しているんですか?わからない……わからない。僕のこの感情の昂りは、嫉妬?憎悪?ああああああ、僕は……僕は…っ、ぼ……く…は………

古泉Bが狂った!