螺旋街道


光と影08

腕の拘束がとけ、自由になった俺はそのまま脱力してベッドに横になる。
「すみません」
古泉はどこも悪くないのに。 アイツは嫌味のように謝ってくるんだ。 ズルい。 俺は自分を護りきれなかった弱虫なのに。
「謝るな」
たった一言だった。 相変わらず、下腹部は限界まで興奮させられていて収まる気配は毛頭もない。 苦しくて。苦しくて。 俺は、トイレまで我慢できず、その場で自身に手を伸ばした。
「キョンくんっ、僕がやりますから……っ」
その手を掴まれ、古泉Bに噛まれたところを上からなめてくる。
「こ……ずみ、アイツは…?」
「逃げました」
優しく甘噛みされて、痕をつけ直された。 甘ったるい刺激が脳を支配して。
「あぁ……っ」
溶かされる。 脳髄を、脊髄を、骨すべてを。 古泉の手が、俺自身を優しく包み込むように掴む。 途端に、緊張と不安、恐怖に煽られ固まる身体。
「…っひ」
ひきつった喉から悲鳴じみた声が出て。 古泉は申し訳なさそうに俺を見るんだ。
「大丈夫ですから、僕は古泉一樹です」v 優しく抱き締められ、こわばった身体が溶かされる。
嗚呼、この手でお前のことを掴んでも。 消える俺はその温もりを感じられない。
「………っ、キョンくん」
古泉の手で絶頂に導かれ、ぐったり目を閉じていた俺の短い前髪を撫でるように触り。 俺はその行動に違和感を覚え、目を開いた。
「ど……し、た?」
「あなたの手が……消えて…いま、す」