土銀八
「オイ……こんなところ、で」
回りが崖に囲まれた、山の中腹あたりに存在感ありありでただずむ、高校。
教室からそと廊下へ出れば、下の方にどこまで続くか分からない海が見える。
そんな廊下の真ん中で押し倒された教員、坂田銀時。
無論、押し倒したのは生徒の土方であった。
真っ昼間、午前の授業古講がある、2年A組に足を気だるそうに運んでいた所を、どこから来たのか、土方に襲われたのだ。
二分前着席を徹底している為、あたりには人はいない。
見つめ合う二人の耳には、穏やかな海の波の音と鶯が鳴く音が響く。
しばらく、そのままの状態が続いた。
声を出そうとして、銀時が口を開くが何故か、ぐぅの音も出ない。
土方も何も言う事なく、銀時のズボンのベルトに手をかけた。
「うわぁっ」
携帯がブルッた音で目が覚めた。
時計は五時半をさしている。
銀時は、大きなあくびをすると、布団から出て、一階に降りた。
朝食として、バターをたっぷり塗った食パンをかじり、弁当箱を鞄につめる。
携帯にメールが来ていないのを確認した後、サイレントモードに設定をした。
歯磨きをしに洗面所へ行き、顔を洗って居間に戻れば時間は六時四十分。
「やばっ……」
慌ててバイクで駅へ向かう。
そうして六時五十三分の電車に飛び乗り、一息をついた。
後は三つ目の駅でバスに乗り換えるだけだ。
ふぅとため息をつき、サラリーマンやらが乗ってくるのをひたすら眺めていた。
そんなこんなで、約一時間かけてたどり着いた、島の奥がわに立つ、生徒約300人あまりの小さな学校。
銀時の夢に出てきた学校も、ここであった。
長く急な坂を登り、生徒玄関の右向かいにある、教員、来客用玄関から入り、二階に位置する職員室へと向かった。
今日は、午前の授業に2年A組が入っているだけで何もない。
自分の席へついた銀時は、目の前のパソコンを立ち上げようと、パワーボタンを押した。
朝の職員会議も適当に耳に流し入れ、後はひたすら海を眺めるだけ。
そんな事をしている内に、授業の時間になった。
「面倒だな……」
臨時採用教員だから、特に面白みもなんともない。
今は、一年生が新入生セミナーでいないため、授業もぐっと減った。
外廊下を歩けば、海独特のしょっぱい風が頬をかすめ、どこか切ない気持ちになる。
銀時は、誰も来ない渡り廊下の一角にペタリと座り込んだ。
「なにしてるんですか?」
急に声をかけられた。
振り向けば、立っていたのは土方。
「別に……」
再び、海に視線を戻す。
土方はそんな小さくて細い背中を抱き寄せた。
「土方?」
珍しい行動に目をむく銀時。
振り向けば、土方の距離が近すぎて唇と唇がぶつかった。
そのまま土方は、舌を入れてくる。
「んっ……ふっ」
まるで夢の続きを見ているような気分だった。
静な廊下にただ、キスの音だけが異様に響く。
その内に、回りが見えなくなって土方は銀時を押し倒した。
「土方……」
きっとここは夢の世界。
誰も来ない。
土方は銀時のネクタイを取り払い、ボタンを三つ外した。
鎖骨を噛みつかれ、我慢できなくて銀時はのけぞる。
「あ、ぁ……」
もう回りは見えない。
ただ、土方が生み出す快楽に身体を委ねるだけだ。
今、ここが現実か幻かなんて判断する術もない。
正夢だったらちょっぴり危険だけどその方が面白みがある。
ここは幻か現実か。
知っているのは、神様だけ。
ずいぶん前にかいた土銀八。
書いてる自分も夢現だったのでしょうか、、意味がわからない!