螺旋街道


恋花火

土銀

「銀さん!行きますよ」
「おー」
今日は、花火大会があるというので銀時たちは浴衣を着て、出掛けた。

ヒューン。ドーン。
一つ一つ、大輪の花火が花を咲かせる。 それをみて顔を輝かせる新八と神楽を尻目に、銀時はある屋台でお酒を飲んでいた。 珍しく今日は少し強めのお酒を頼んで。
小さいお猪口で三杯飲んだ。 たった三杯。 それなのに、酔ったらしく呂律が回らない。
そんな銀時の隣に誰かが腰を下ろした。 さっそく絡もうと、顔をあげた銀時。 見えたのは黒髪の男。
「土方……」
土方だった。
「よ、」
「久しぶり、土方」
随分とあってなかった気がする土方に優しく声をかけた。 瞬間。
「ヒクッ」
「え?」
銀時から不気味な音がたった。
「な、何だ?」
「ごめん、しゃっく、ヒクッ、り」
ヒクッヒクッと、絶え間なくしゃっくりをする銀時。 土方は、段々おかしくなってきて、笑い始めた。
「笑う、ヒクッ、な!」
急にびっくりした為に起こった、横隔膜の痙攣は中々なおらない。 それから10分程、土方に背中をさすってもらいながら、息を止めたりして、ようやくしゃっくりは治まった。
「そんなにびっくりしたのか……?」
あきれる土方に銀時は無言で頷く。
「だって、一週間ぐらいあってなかったから」
「……そうだな」
無言で、土方に手を捕まれる。
「え?」
ドキリと高鳴った心臓。 土方は銀時を引っ張って屋台から出ると暗い、路地裏に滑り込んだ。
「銀時……」
「ひじ………んっ」
急に口を塞がれた。 きつく閉まった唇を開かれて舌が入り込んでくる。 無意識に、逃げた銀時の舌をからみとり、きつく吸い上げた。
「ふっ……ん……んんん!」
息が苦しい。 ドンドンドンと土方の胸板を叩くが、土方は一行にやめてくれない。
酸欠になってきて。 銀時はずるずると床にへたりこみそうになった。 それを、容易にキャッチした土方は、さらに深く口付ける。 暫く、水音だけが響いた。
口をはなした土方。 汗をかいて嫌に男っぽい。
銀時は心臓を高鳴らせ、口元をぬぐった。
「そんなに寂しかったのか」
くぃっと銀時の顎を掴む。
「っ……」
恥ずかしくて、顔を真っ赤にして土方の腕をつかんだ。
「寂しくないわけないだろ……好きなんだから」
ギュウウッと土方はその言葉を聞いて、銀時を抱き締める。
「愛してるよ銀時」
「うん、うんっ」
銀時も抱き締め返した。 いくら寂しくても、会えると信じているから 俺は頑張れる。
ありがとう土方。