螺旋街道


knight and lie02

「…明日任務が入ってるなんて聞いてないぞ…」
ゆらりと、寮に帰ったスコールに詰め寄ったのはサイファーだった。
「…言ってないからな」
そっけなく返すスコール。 依頼内容は極秘、それに内容を言ってしまったらサイファーは「俺も行く!」と言って駄々を捏ねるだろう、とわかっている。 わかっているからこそ、この反応なのだ。
わかってくれサイファー…と心の中で謝ってみるが、彼には伝わらないのだろう。 スコールはこっそりと、ため息というなの息をこぼした。 呆れではない。申し訳ないと、しょんぼりしている時のスコール特有のため息。 長い間、幼少期を一緒に過ごし、ここガーデンでも一緒に過ごしてきた、そしてまた更に、ガーデンで一緒にいる年数を伸ばしているサイファーは、スコールのため息に気づいた。
かすかな違い。 それがわからないサイファーではない。 さらに、彼はなぜスコールが自分に任務を伝えてこなかったのか、少し気づいてもいた。 それでも、溜め込んでしまうスコールに、自分に何も言わないスコールにイライラしてしまうのは、彼のことをLikeではなく、Loveと。そう思っている故なのだろうか。
「…スコール、お前なぁ…」
ぐしゃぐしゃと、ハニーブラウンの髪の毛をかき回した。 むっとしたように見上げるスコールだが、身長差のせいか、おねだりするような上目遣いにしかサイファーには見えない。
心なしかニヤニヤしながら、それでもさらに愛しい人の頭を撫で回した。 愛しさがどこからともなく溢れ出てくる。
きっと自分を思って黙っていたのだろうスコールに腹は立つけれど、同じぐらい好きで、愛しくてたまらない。
「サイファー、顔がにやけてるぞ」
ちょっぴりうつむいたスコールの顎に指をかけた。
「あ…」
ほんのり紅く染まった頬。 どういう表情をすればいいか考え倦ねているのか、少し空いたりしまったりする口。
「…っ」
完璧にやられた。 サイファーはたまらずに、スコールの腰をきつく抱きしめて引き寄せると、暴れる彼にディープなくちづけを落とした。
「んぅ…さいふぁ、やめ…っ」
角度を変える度、スコールの口から静止の単語が溢れるが、お構いなしにサイファーは口付けしまくる。 触れるか触れないか、微妙な感覚で少し腰をなであげれば、びくりとひきつる身体。
サイファーは彼の甘い口内を物色しつつ、その感度のいい身体をもて遊ぶかのように何度も何度もなで上げた。 いい加減そろそろ押し倒してきたくなってきた頃。
「い…かげん…に、しろ…っ」
スコールも耐え切れなくなったのか、ものすごい弱々しいパンチがサイファーのお腹に決まった。
「ち…っ」
少し走った痛みに顔をしかめつつも、殴った本人を離すことはせず、さらにきつく抱きしめる。 そして
「スコール…死ぬんじゃねぇ…わかったな?帰ってこねぇと、お前の好きなケーキ食わせねぇからな」
そっと耳元で囁いた。

スコールって甘いもの好きなタイプじゃなさそう…とか後で気づいたバカ