螺旋街道


キリトリセン

「今日こそは…」
そう決意を固めるのは、金髪をオールバックに整えた美男、サイファー。 その手元には、想い人が好きであろう甘いものの数々抱えられていた。
眉間に走る傷を眺め、よしっと気合を入れる。 そして、廊下を出て指揮官室へ向かった。 今日こそは相手を言いくるめて、ベットへ誘ってやると、不埒な決意を固めて。。。


「…くしっ…」
「お大事に」
指揮官室から、書類をもって出てきていたスコールのくしゃみに、キスティスが反射的に返す。 スコールは、咳払いをすると、書類をキスティスへ流した。
「これ、今日中に学園長のところへ出しておいてくれ」
「了解」
パソコンとにらめっこしたまま、視線も合わせずにスコールのよこした書類を手に取る。 キスティスは絶賛、強制終了しクラッシュをしたパソコンのデータを戻そうと、壊れたパシコンと格闘中だった。
手元には数本のドライバーがにぎられ、右手は常にキーボードを叩いている。 スコールからしたら一体何をしているのか見当もつかない姿であった。
「…くしっ…」
「いいんちょ、風邪?」
本日二回目のくしゃみに、ちょうど指揮官室へ入ってきたセルフィが反応する。
「でもいいんちょって、なんだかきっちり毛布かぶってそうなイメージ〜」
はいこれ、と渡された書類の束を受け取り、スコールはため息をつく。 要件は済んだ、とソファにもたれたセルフィは、おもむろにそのへんに置いてあった女性誌を手に取りパラパラとページをめくり始めた。
セルフィから渡された書類に一通り目を通していくスコール。 しばらくの間、指揮官室はシーンと静まり返っていた。



「スコールー!」
そんな静寂を破るように、指揮官室へやってきたサイファー。 げんなりとした様子で、スコールがドアへ目をやる。
こうやって何度も侵入し、何度も扉を壊された経験のあるスコールにとっていまの登場の仕方から扉はきっと壊れているだろう、推測に行き当たったのだった。 しかし、今回は壊れていない。
何事か、とめをこらしてみれば、サイファーが手招きしていた。 小さく背中を丸める姿はまさしく、小動物。
「…なんか、小動物だな」
くすりと小さく笑ったスコールは、セルフィからの書類を机に置くと、スコールはサイファーのもとへ駆け寄っていった。


「なぁ、スコール頼むよ」
「…痛いんだろう?断る」
自室に戻ったふたりは、シングルベットに腰掛け、なにやら重大な話をするかのように顔をしかめている。 スコールの手には、先ほどサイファーが握っていたお菓子がしっかりと握られていた。 小さなチョコにいたってはもう封も切られている。
そのスコールの肩をつかみ、懇願するサイファーは傍から見たら、かなりおかしなものだろう。 実際スコールから見てそうなのか、クスクスと笑っている。
「俺たち付き合って一年だぞ!?そろそろいいだろ?なあ…」
「その半分以上、魔女の騎士してたのはどこの誰だか…」
うっと言葉につまるサイファー。 しかし、負けてたまるか。と意気込みさらに流暢に言葉を紡ぐ。
「その間、俺はお前のこと忘れたことなかったぜ?」
「…人を拷問しといて何を…」
再びつまるサイファー。 言えば言うほど、墓穴を掘ってしまうようで、諦めたのかサイファーはスコールの方から手をどけた。 すっとスコールから危機感が抜けた瞬間。
「おら!」
派手な音をたてて、サイファーがスコールを押し倒した。
「やらないっていってるだろ!」
それに驚きつつも、避けきれずまともにくらったスコールがサイファーの体を押しながら抗議の声を上げる。
「スコール、愛してるぜ」
不意打ちのサイファーの言葉に、思わずスコールが口を閉ざした。
「大体一年も付き合ってて、抱かせてくれねえってどうゆう神経してんだお前は…」
「う、うるさい!」
がっちりホールドをかけて、サイファーが軽くスコールへキスを送る。 それだけで真っ赤になった彼を見て、サイファーは息を吐いた。

終わってしまえー!
ということで強制終了。 肩痛い…